ブルーストーン採掘場

ボードゲームやらなんやかんや。

入院の日々 第3話『祝日』

6時のアラームで目が覚める。いよいよ病院の一日が始まった。といっても、一般的な入院のスケジュールである食事のタイミング、起床、就寝などの時間についてはわかっているものの、自分の治療にまつわる具体的な予定は何にも聞いていない。点滴はやるはずだが、いつからだか、どのくらいの時間だか、1日何回やるのかなど何もわからない。不安とまではいかないまでも慣れない環境の中で多少とまどいつつ、まあ先生と看護師がなんとかしてくれるのだろう、何か言われるまで焦らずゆっくり過ごそうと覚悟を決める。

7時頃に看護師さん登場。検温と血圧測定。これは特に異常なし。続いて血糖値の測定。指の先に針でチクッとして血を染み出させ、測定器に血液をつける。なるほどこうやるのね。あっという間に数値が出る。102。空腹時血糖ならこんなものか?

 

8時過ぎ。そろそろ朝食かな、と思っていたらその前にインスリンの注射だった。そうか、このタイミングで打つのね。太めの注射器でお腹に刺しますというので内心ややビビるもののいざやってみると刺したか刺していないかわからないほどの刺激だった。針が細いのだろう。むしろちゃんと刺さっているのか心配になるほどだが、インスリンは無事に注入されたようだ。

 

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8時半過ぎて待望の朝食がやってきた。家では大抵朝はパン食なので久々の御飯の朝食だ。これまた久々のおくらが美味しかったですよ。そしてすかさず食後の薬が投入される。普段飲んでいた薬に加えて今回の治療に必要な薬が増えているので、いつもの倍くらいの量だ。顆粒も一袋ある。今の口の状態だとこれは気をつけないといけないかも。最初にこの難敵をやっつけて(特にこぼしたりはしませんでした)薬のノルマをこなす。

次はなにかしらと思っていると10時頃にステロイドの点滴を開始。キャスターのついている点滴棒なのでつけたまま歩けるといえばそうなのだが、面倒なのでそのままにして少しボーっと……していたかと思うと再び現れた看護師さんから、昨日のPCR検査の結果が陰性だったとのお知らせが来る。これが陰性でないといろいろと厄介なので助かりました。体に不自由はないので院内をブラブラできるし、顔面のリハビリマッサージをしてもらえるようになる。ふぅ、一安心。そんなこんなで点滴が終わるとすかさずまた血糖値測定で177。なるほど上がっとるな。それによって昼食前のインスリンがちょっと増量された。小まめなコントロールが重要ですね。

せっかく院内を歩けるようになったので、1階(病室は4階です)に降りて売店を覗いてみよう……と思ったら暗いぞ!閉まってる!今日は祝日!そうだ!三が日だ!そういや診察も今日はそれでないんだった。すっかり忘れてた。特に何か買うつもりもなかったけれど、様子を見られなかったことにがっくりして肩を落としつつ病室に戻る。


15時前くらいに、妻が面会に来てくれる。といってもコロナ禍のおかげでデイルームという共用スペースで5分間のみ、1家族1人という制限つき。まあしょうがないですね。部屋着用のスウェット二組など持ってきてくれたのだが、オマケもついていて流石でした(笑)。

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オマケがなんだかわからないキミは、パパにきいてみよう!

部屋に戻って今日はこれでもう何もないかなあと油断していたら、早速理学療法士の女性(仮称 Aさん)登場。あ、今日からリハビリやってもらえるんですね。素早い対応ありがたい。顔面神経麻痺で顔の筋肉が動かなくなると、治療して神経が戻るまでに筋肉がこわばってしまい、そのまま固着したりしてしまうそうなのでそれを防ぐためにマッサージしてほぐしていく必要があるという。なるほどなるほど。おでこや目の回り、口の回りなど具体的な筋肉の位置に対して、上下や左右に軽くゴシゴシとマッサージ。お手本のあとに自分でやってみて一つずつ覚えていく。口の回りのヒゲがチクチクします。自業自得。自分でのやり方を覚えたら後は30分くらいひたすら顔を30分ほどマッサージしてもらう。当然ヒマなのだが、Aさんが色々話かけてくれるので楽しく気持ちよくマッサージしてもらえました。Aさんありがとうございます。

明日からも毎日来てマッサージしてもらえるというので時間の相談をする。点滴はどうやら毎日午前中のようなので、点滴の最中を見計らってきてもらうことにする。どうせ動くの面倒なのでその間にすませてしまおうという寸法だ。コンゴトモヨロシク。


夕食は18時で、当然その前に血糖値測定。今回も177。あんまかわってないですね。美味しく夕食をいただいた後は早速教わったマッサージを自分で復習がてら実行してみる。毎食後、とかにすると忘れなくてよいのかな。自分でやってもそこそこ気持ちよいのでこれは続けられそうだ。

その後はシャワーを浴び、消灯まで流石にもう何もないだろうと持ち込んだ分厚い本を読みふける。氷川さんの序文(でいいのかな)『過去と未来を無限につなぐエンジン』を読んで感動する。これだけで図録の価値が倍増です。ありがとうございました。

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年末に届いたものの目を通せていなかった『庵野秀明展』図録

最後は寝る前の血糖値測定。278。食後とはいえ高いですね。しっかり抑えていけるといいな、と思いつつ就寝。明日からは会社も動き出すので、各所に連絡しないといけないなあと思いつつ就寝。オヤスミナサイ。

 

予告

とまどいながら始まった新たな生活はほんの序章にしか過ぎなかった。祝日の平穏は影を潜め、診察と説明の乱れ打ちがキリコを包む。つかの間の安息にも容赦なく突き刺さる、新な力を纏った仇敵の追撃。やはり奴は生きいていたのだ。その時キリコは叫んだ。「オミクロン!」と。

次回、『怒涛』。コロナの影が迫る。