入院の日々 第7話『彷徨』
1月7日(金)
起床。今日は自力で6時8分に起きられた。偉いぞ(普通です)。
9時前頃、B先生の回診あり。現状麻痺は悪化している様子もなく、目の閉じ具合など微妙に良くなっているところも見られる。発症から1週間経過したのでここからは悪くなることはほぼないという。今のところ治療の対応も適切だったよ
うだし、血糖コントロールもうまくいっているので予定通り行けそうだという見立て。明日はちょうど入院から1週間なので採血して検査する、そのデータを見ながら詳しく説明するとのこと。あと脂肪肝の傾向が見られるのでなるべく歩きなさいとのお達しが。でも昼寝はしなでね、夜寝られないといけないからと。しかと承りました(ペリーの口調で)。
その後は9時45分頃に点滴が始まる。今日は点滴棒復活してました。よかった。点滴中にAさん来て、リハビリマッサージ開始。もうお互い慣れたもので話題をあっちゃこっちゃ飛ばしながらの喋り通し。本日最大のトピックは「ヒゲってシャンプーしてリンスするんですか？」考えたこともなかったわ。今晩のシャワーでやってみます。
お昼前のイベントもあらかた済んでまだ時間もあったので、早速B先生に言われた通り院内をウロウロすることに。とりあえず病室のある4階を一周してみましょうかと歩き出す。そしてあっという間に自室の前に帰ってくる。……約2分。そんなもんだよね。うん。仕方ないもう一周してみるか、と思ったがこれがなかなか。さっきす
れ違ったばかりの他の患者さんとまたすれ違うのが微妙に気まずかったり、看護師さんが押している作業台を避けてくれるのが申し訳なかったりと結構居心地がよろしくない。うーむ、これは……そうだ、1階だ。1階に降りようとエレベーターに逃げ込む私。そして1階を歩き出す。いかん、もっと歩きにくいわ、これ。診療待ちの外来の人がたくさん待ってる。4階みたいに周回ルートがないから、意味もなく行き止まりに突っ込んでは元の道を戻ってくる。これは不審者なのでは？(こう見えて案外気にしいなのよ)。早々に退散して病室に戻ってきてしまった。やあ、ちょっとウロウロするのも一苦労ですよ、B先生……。
そんなことがあったからかどうか知らないが、お昼前の血糖値は169。150越えているとその後のインスリンが少し増えるんだそうだ。初めて知った。
午後、ささっとやっつけるかとイヤフォンで音楽を聞きながらブログの文章整理に集中していると、音楽の向こうから微かに聞こえてくる低い声。……これは……お経？……お経！？……病院でお経って、まさか……、と一瞬背筋が寒くなる。いやいやいやいやと思いiPhoneを見ると、そこには
「Gidorah Theme」Godzilla:King of the Monsers Original Motion Pictures Soundtrack
の表示が。ああ、ビックリした……。(映画見た人でないとわかんないですね。すまん)
その後はたいした事もなく、明朝は採血と採尿がありますと看護師さんからお知らせがあったくらいかな。夜の血糖値は128と、大部落ちついてきた感じ。いいですね。あ、ヒゲもシャンプーしてみました。こころなしかしなやかです。ホントか？
予告
彷徨い疲れた兵士にも、容赦なく明日はやって来る。折れかかった心にのしかかる任務の重み。そこに救いの手を差し延べたのは、機械仕掛けの小さな神だった。これで、ようやく……。そう安堵するキリコの眼前に、驚愕の光景が展開する。デウス・エクス・マキナが、今その真の姿を現した。
次回、『策謀』。溺れる策士は、藁すらつかめない。
